スケールは和音で作れる ーメジャースケールとディグリー|うりなみ
今回はハーモニーやスケールを学ぶうえで欠かせない特に重要な二つの概念について話しますね。
前回の記事では「なぜ度数で覚えるのか」という理屈について考えましたが、今回はメジャースケールを実際に視覚的に認識し、弾けるようにしていきましょう。
え?と思うかもしれませんが、 コードの組み合わせで、スケールは作れます。
基本となるメジャー・スケールで考え方を理解すれば、コードとスケールを切り離して考える事は意味がない事がわかるはずです。
ゆっくりやっていきますので、慌てずにね。
出来れば、パッドをお手元においていただいて、音を出しながらいきましょうね。
まず押さえたいのはこの2点です。
- メジャースケール: 音楽の「物差し」
- ディグリー: キーが変わっても通用する「普遍的な共通言語」
メジャー・スケールを覚える意味はなんなのか。意味があるんですよ…
メジャースケールという「基準」を持ち、そこからの「変化」として捉えれば、記憶の負担は最小限になるからです。
前回やったディグリーもメジャー・スケールを基準にしています。
そんな重要なメジャースケールですが、パッドなら極めて容易にマスター出来ます。
前回の復習をかねて、確認していきましょう。
ハーモニーの「部品」を形で覚える
まず、音楽の最も基本的な構成要素である「インターバル(音程)」を、パッド上の「形」として再確認しましょう。
複雑に見えるコードやスケールも、突き詰めればこれらの部品の組み合わせに過ぎません。
パッド上に視覚的に展開出来るようになるのは重要な技術ですよ。焦らずにいきましょう。
オクターブ
まずはオクターブの位置関係を覚えましょう。これはCをルートにした場合ですね。

斜め左上は始めは意識しにくいかもしれない。Linnsturumentなどでは多用する。
- オクターブ
- 斜め右上に2つ(オクターブ上)
- 斜め左上に3つ(オクターブ上)
- 斜め右上に2つ(オクターブ上)
完全5度

5度上だと半音7つ分
- 完全5度:
- R(ルート)の真下(半音5つ分)
- Rから 右に2つ・上に1つ 。
- R(ルート)の真下(半音5つ分)
長3度

長3度上なら半音4つ、R,3,5と弾けばメジャー・トライアド
- 長3度:
- 斜め 左上に1つ
- または 右に4つ 。
- 斜め 左上に1つ
短3度

長3度の半音下であることも視覚的な手がかりとなる。ハードコア・パッドスタイルではm3と表記する
- 短3度 (半音3つ分):
- Rから右に3つ
- 長3度の半音下
- Rから右に3つ
長7度

7度と3度が4度音程になっているのは押さえたい。
- 長7度 (maj7):
- Rの半音下。
- 長3度の真下
- Rの半音下。
短7度

ハードコア・パッドスタイルでは短7度をb7と表記する ちなみに単体で7(セブンス)と言った場合は短7度を指し、 メジャー7と言った場合は長7度を指します。

- 短7度 (7):
- Rの全音下。
- 長3度とトライトーン(斜め)
- Rの全音下。
「和音のブロック」でスケールを組み立てる
ここからがこの記事の核心です。パッドだと特にわかるところです。
スケールは、7つの音の羅列ではありません。 2つの和音の組み合わせと捉えましょう。
こうする事で、「スケールとコードは別物ではない」、つながりがあるものとして捉えられるようになります。
ステップ1:まず「土台」となる4和音を選ぶ
スケールのキャラクターは、その土台となる4和音で決まります。
例えば、Imaj7(例:Cmaj7 = C, E, G, B)という明るく安定した土台を選びます。

ステップ2:「上物」となるトライアドを乗せる
この土台の上に、 ルートの全音上 から始まる マイナー・トライアド (IIm) を乗せます。(例:Dm = D, F, A)

ステップ3:完成

全てがメジャー・スケールの中の音と言うのがわかる。
- Cmaj7(土台) + Dm(上物) = Cイオニアン(メジャースケール)
「7音の羅列」ではなく、「4和音にトライアドを乗せる」だけ。
これで、スケールがコードの組み合わせで作れる事がわかりましたね。
記憶の負担は圧倒的に少なく、最初からスケールを「コードの集合体」として捉えることができます。
コードはスケールから抜き出したものであると言うこともわかりますね。
「ディグリー」:コードの「役割」を示す共通言語
さて、メジャースケールという「物差し」に、その各目盛りに1, 2, 3, 4, 5, 6, 7という番号(度数)を振りました。
ここからが重要です。
コード理論では、この各番号の音の上に作られるコードに対して、 ローマ数字 を使います。
ローマ数字を使ってるのがコード。 これだけ覚えればとりあえず大丈夫です…
スケールのディグリーは数字やRoot,2ndなど英語や日本語が入り乱れていてカオスなのですが、コードに関してはローマ数字を用いるということですね。
たとえば、
1番目の音(C)の上に作られるコード → I(主和音=トニック)
2番目の音(D)の上に作られるコード → II(下属的)
これ、同時にコードの機能もある程度わかっちゃうんですね。
メジャーの場合は、Ⅰはメジャー、Ⅱはマイナーと決まってるんですね。

キーが変わっても、ディグリーのコードタイプは変わらない。ジャズ・ポップス理論は4和音が基本となる。
服装とか職業である程度どんな人かかあたりが付くようなものですかね…
これはふらふらしているヤツだとか…
機能和声ではこれらを大きく三つに分けます:
T(トニック):中心、帰る場所(I, VImなど)
S(サブドミナント):移動出来る(IIm, IVなど)
D(ドミナント):戻ろうとする力(V7,など)
「ディグリー」はこのように、コードの“住所”だけでなく“性格”までをわかるわけですね。
その構造を支えているのが、メジャー・スケールと考えるとしっくりきますか…
つまり、
- アラビア数字(1, 2, 3...)は、 単一の「音」の順番(スケールなどは) を示し、
- ローマ数字(I, II, III...)は、その音の上に作られた「コード」 を示す。
ここさえ押さえておけば、「もう嫌や…」と絶望しなくて済みます。
ここでもメジャースケールが基準になっているんです。
どういうことか。
なぜ♭IIIや♭VIのように、わざわざ『♭』が付くコードがあるのでしょうか?意味不明過ぎますよね…
それこそが、メジャースケール「物差し」になってるって事なんですね。
♭IIIというディグリーは、「本来のメジャースケールの3番目の音を半音下げた場所から始まるコードですよ」という意味です。
全てのコードは、この「ディグリー」という言語によって、「メジャースケールという基準に対して、どういう関係にあるか」という視点で表記されているって事ですね。
つまり、メジャースケールを覚えさえすれば、情報がすぐとれる。
bⅥと書いてあるものが出てきたら、あ、ここはメジャースケール外で転調してるとか、借りてきてるコードだなとか。
で、プラクティカルな観点で言うと、ディグリー、マイナーじゃなくてメジャーだけで考える人も結構いるんです。
メジャー・スケールを物差しとして覚えておくと、いろいろ楽が出来ると言うことです。
楽はしましょう…大変なのは人生だけで十分です…
コードとはスケールでもある
先ほどやったように「スケールは和音の組み合わせ」という考え方をさらに進めるとこういう結論になります。
コードとはスケールである。
「え、うりなみさん、ぼけた?」と言われるかもしれませんが、そうではありません…
テンションを全て含めたコードネームは、そのスケールの「別名」に過ぎない 、ということです。
どういうことか。
「4和音+トライアド」という構造が、どのようにスケール全体を形づくるのかが見えてきます。
スケール=テンション全部入りコードって事です。
言われたら単純な事なんですけどね。

注 コードのテンションは、アヴォイドノートを考えずに書いてあります。マイナーのテンションもドリアンの特性音などモードのへの接続を考えてある。4和音とトライアドの組み合わせと理解していただくためのものです…
この表は、コードとスケールが不可分であることが見えるんではないでしょうか。ここでは別に覚えなくてよいですよ。
繰り返しになりますが、4和音とトライアド(三和音)でチャーチモードは成り立っていると考えると、後で大きな自由を得る事が出来るんです。
後期マイルスバンドみたいなことをパッドでやりたい人には大興奮ですね…
そして、こう考える事で、モードも、コード・スケール理論もシンプルな物差しで理解出来るようになります。
私の師匠は初回のレッスンの時に、
「コードとスケールが同じ事と言うことはわかるな?」
「おまえが好きなタイプの曲はコードをメロディにしたものだ」
と、いきなり超ハイレベルなことを言われて、おいてきぼりにされた記憶が蘇りましたね…
スケールはコードを拡張したもので、コードはスケールから持ってきたもの。
こう、教えてもらったのは私の音楽人生のなかで最良の教えの一つでしたね。
「締め切りはたいていマージンがあるから破っても大丈夫や!」とか最低の教えもありましたけどね…
あと、「聞け」「コピーしろ」「歌え」というのは本当に目茶苦茶たたき込まれたんですけどね。
これも私の杖になってくれました。
まとめ
さて、前回までの内容を合わせて確認しましょうか。
- ハーモニーの基本は、パッド上の「形」として覚えられるいくつかの重要なインターバルである。
- スケールとは、7つの音の羅列ではなく、「4和音+トライアド」という和音の組み合わせで作る事が出来る。
- ディグリーがわかれば、コードとその機能がさっとわかる。
パッドは形でわかるのが何とも言っても強いです…
形の組み合わせ、特にコードを組み合わせる事で習得コストを格段に減らす事が出来ますし、常にコードとスケールを結びつけて考える事が出来ます…
鍵盤はキーが変わったら異世界。大阪で言ったら北摂と泉南位違います。
ギターは2弦があるから一貫性が保てない。
ベースはパッドと近いけれど、同一弦上では発音出来ないから、ここまで理解は容易ではないんですね。
この物差しと共通言語を手に入れたら、次はいよいよダイアトニックコードをやりましょうか。
その前に、ちょっと調性音楽で重要なCycle of Fourth(Fifth)やって、混乱しがちな「何度上」『何度下」などをお話しましょうかね…
一応、この2つに関しては、旧ブログやハードコア・パッドスタイルでも、取り扱ってはいるんです。
ですが、大人が毎日短時間で楽しむためには、復習が組み込まれている事が必要だなと。ハードコア・パッドスタイル、ここまで書いてきて思いました…
え、「メジャースケールやディグリー、ダイアトニックコード、こんなにやるの?」と感じられると思うんですが、完全に記憶していないと後で詰まってしまうからですね。
これは文字と同じようなものなので、文字を覚えずに文を読む事は出来ない。
これは、常識だよね?と言う体で理論書は進んでいく。ディグリーやダイアトニック・コード、マイナー3種類のスケール。
そういう意味では数学なんかとも近いところもありますからね。
で、紙書籍は紙幅の問題もありますので重複は避けるようにしている。
ですが、ハードコア・パッドスタイルはnoteで書いているわけですから、読んでいくうちに頭に残るように出来る。
手形も正直、毎回つけるのは大変な手間なんですけれど、それならさっとパッドを触ってもらえるかもしれない。
「見た事がある」「聞いた事がある」ことがなくて「覚えている」状態は作れないからです。
「覚えている」と「出来る」の間の差も大きい。出来るだけ習得コストを下げるために、こういう繰り返しをいとわない形でやっていきます。
ハードコア・パッドスタイルをスムーズに理解出来るようにするためにもこういう基礎的なものについては、コツコツ書きます。
理屈説明した後に弾く練習を加えているのは「覚えている」から「出来る」様にするためですね。
ダイアトニックコードに関しては、ちゃのさんにご協力頂いて、たくさんの1625のパターンを徹底的にやります。
1625と言いながら、リハモしたらこれも使えるよねということで、代理コードなどもどんどんいれて、弾いてるうちにダイアトニックコードを覚えられるという形にしていきます。
マイナー1625もやります。多くの方はマイナーは苦手ですしね。
地獄プラン初級編はちゃのさんのレッスンで効果があったものや、「これ付け足したほうがいいなと判断したものをまとめていく形にします。
けれど、「疲れて何を練習したらわからん」と言う時などにプロジェクトファイルをつけてあるのでよろしければ触ってみてください。
とりあえず今はたたき台を作っていく過程なので、Abletonのプロジェクトファイルだけ、つけておきますが、完成版にはMIDIファイル、オーディオファイルをつけます…





