2025/07/03 三井田君レッスン Maj7系のテンションボイシング #11|うりなみ
今回は特に#11というなかなかに強烈にジャズを感じるボイシングを今回は取り上げます。
9,13系統に比べて、あきらかにポップスなどでは使用頻度が低いのですが、興味がある方はどうぞ。
ジャズ・スタディでは、ジャズ的なモードもやりますので、そのあたりでは良く使うことになりますね。
怪しくも美しいmajコードに使われる#11というテンション
今回は、三井田君のレッスンで行った、少し発展的なテーマ「#11th(シャープイレブンス)のテンション・ボイシング」について掘り下げていきます。
なぜ#11thは「特別」なのか?
多くの音楽理論書では、メジャーセブンスコードで使えるテンションとして「9th, #11th, 13th」が並べて紹介されています。
しかし、実際の音楽シーン、特に 一般的なポップスなんかにおいて、#11thが使われることはほとんどありません ね。こういうの、書いたほうが良いと思うんですけどねえ…
三井田君は4曲中3曲は使いたいかもしれませんが、そんなことをしてると仕事がなくなります…
なぜかというと、#11thは非常にキャラクターの強い響き、すなわち「リディアン・モード」の色彩を楽曲に与えるからです。
特に#11は物凄く強い世界観を持ってると言うことですね。
ハマる人はハマります。え、「うりなみさんは?」って。大好きですよ。もちろん。仕事が減る程度にはね…涙
なんで#11と言うテンションが出てきたか
Cメジャー・スケールで考えてもらいたいわけですけれど、#11と言ったらF#ですね。
Cメジャー・スケールの中にはないテンションです 。
だから、メジャー・スケールとマイナー・スケールから構成される調性音楽の観点から言うと異質なわけですよ。
以前のメグさんのレッスンでアベイラブル・テンションの話をしましたね。
Rや3度には短9度でぶつけない。という原則で考えるとCmaj7に11thを持っていくと、 EとFでぶつかってしまいます ね。
なので半音上げて#11にしたと。
そう考えると分かりやすいですかね?
そもそもCメジャー・スケールの中にない、 アウトサイド・テンション と言うことになります。
トライトーンが特殊
コードトーンの3度と7度でトライトーンになるものは注意しよう と言う話をしましたね。
トライトーンがあると、 ドミナント7の機能になっちゃうから注意しようね と言うことです。
パッドなら楽勝です。見たらわかります。確認してみましょうか。
Dm7(13)

Dm7でテンションの13(6)を加えた例。m3と13がトライトーンの形になっている。 この斜めの形がトライトーンと理解する。何度も繰り返して聞いていると聞いていても認識出来るようになります。「あれ、変だな?」と思ったらオクターブ下げると良いですね。 繰り返しになりますけど、「使ってはならない音」ではないです。ファンクでは最も良く使われるコードの一つです。
トライトーンは、短9度の次に不協和度が高いわけですね。
ですから、それを解決しようと強い力が働く。それがドミナント・モーションの正体でした。
はい。ではこれをみてください。今回のコードです。
Cmaj7(#11)

Rと#11がトライトーンになっています。
「うりなみさん、また、騙したな。許さないぞ…」そうなってるあなた、復習が不足していますよ。あわてん坊過ぎますよ。でも嫌いじゃないぜ…
え、ハードコア・パッドスタイルのサブスクに加入してないから、見られない…?
やらない後悔よりやった後悔ですよ。人生を主体的に生きるために、たった1,500円で充実したパッドライフを失うのは人生における損失。コンビニで豪遊する程度で人生が充実するなんて、そんなうまい話他にあります?
今より時間がある時はない。今でしょう!とごり押ししておきます…
さて、アヴォイドの定義では「3度、7度にトライトーンを作る」でしたね。こちらは「Rと#11」です。
ですから、 ドミナント・モーションする機能があるわけではない。
でも、トライトーンがあるから、独特の感じがあるわけですね。
美しいけど、解決を拒むような響きがある。
「幸せだったかもしれないし、不幸だったかもしれない」みたいな、余韻があるような感じ。
独特のカラーがありますね。
夢を見てるような、浮遊感があるようね。映画のエンディングで流れると、「こ、これは続編があるのでは…」と思っちゃうような奴ですね。
これは、リディアン・モードを代表する響き。
だから、使いどころは考える必要があります。ポップスなんかだと、エンディングに使うのが一番多いんじゃないですかね。
この響きを愛し、自身の音楽の核としたのが、 ウェイン・ショーター です。
もう#11を聞くと「ショーター味がある」みたいに感じちゃいますね。
実際にはHerbie HancockやJoe Hendersonなんかもやるんですけど、ショーターのイメージが目茶苦茶強い。
みんな一度はかぶれてこの#11サウンドを使いまくったりするんですけどね。普通のポップスでやると怒られますね。
「 これが俺の解釈 …」などとやっていると私のように仕事がなくなるので注意してください。
だいたい、バツに2の私に自由に解釈することを許したら、 どんなラブソングも「幸せになるかもしれないし、不幸になるかもしれない」になるに決まってる じゃないですか…
僕は悪くない…
今回のレッスンでは、この「普通じゃない」響き、#11thをどう使いこなすか、その具体的なボイシングを見ていきましょう。
基本的な考え方
#11に限りませんけど 、ボイシングする時の基本ですね。
1. 5度は省略(カット)する #11thのような色彩感の強いテンションを加える際 、ボイシングに透明感を持たせるため、コードの機能を決定づける上で優先順位の低い 完全5度の音は省略する のが基本です。
これは覚えとくといいですね。4和音でもカットしていいです。だって、ルートの自然倍音列に5度はあるんですから。
2. 使う文脈は限定的 ポップスで使うことはまずありません。そういっていいんじゃないかな。
ジャズの文脈でも、サブドミナント(IV度)のコードで使うのが最も自然なんですよ。それでもなかなかあいまいな感じの響きですけどね。
物憂い感じ。。あいまいな日本の私的な感じですかね…そう、私は感じますね。
キーがCの場合、IV度のFmaj7上でBの音(Fから見て#11th)を弾くのは、ダイアトニック内の音なので響きとして成立しやすいんです。トニックの#11と違って、インサイド・テンションです。
ジョージ・ベンソンやアル・ジャロウのようなジャズの素養が深いアーティストが使うことはありますが、彼らは「普通」というのは無理がありますからねえ…
あ、シャーデーなんかではあったかも。
UKのR&Bはモーダルなボイシングを積極的に使いますね。ジャミロクワイなんかはその系譜にあります。
#11thボイシング 単体
では、実際にわれわれパッドプレイヤーがどのようなボイシングを使うのか、5度を抜いた形で見ていきます。
鍵盤的なボイシングですけど、パッドでももちろん弾けます。
Cmaj7(#11)

あいまいさの極地。どうでも良いが昔は結婚式の演奏の仕事をバンドでやっていたのだが、オルガンが全部エンディングは#11にしていた。酷過ぎますね… オルガンをもっていくと赤字なので、シンセを弾かせたら機嫌を損ねて最悪でした…
普通のII-V-Iのような「つまらない」響きとは全く違う、何も解決しない、どこか遠くへ行ってしまうような感じ。何もかも解決しない感じですね。
これこそがショーター・サウンドの魅力なんですよね。まあ、結婚式で弾くものではないですね…
Cmaj7(#11)

これも美しいですね。より広がりがある感じ。
Cmaj7(#11)

McCoy Tynerなんかがやりそうなボイシング。4度堆積なので、なかなか硬質な響き。 調性音楽からはなれたクールな響きです。
#11thと他のテンションとの組み合わせ
テンションは基本的に2つまでで組み合わせることが多いです。UST(アッパー・ストラクチャー・トライアド)は例外的ですね。
Cmaj7(9,#11)

9thが入ることで、ちょっとまろやかになると言うか異世界感がマイルドになる気がしますね。 と言っても十分異世界感はありますけど。
Cmaj7(#11,13)

このボイシングは、Cmaj7の上でF#ハーフディミニッシュ(F#, A, C, E)」が乗っている、と解釈できます。アドリブする時に憶えておくと役に立ちますよ…ハーフディミニッシュとマイナー6は変換可能なことを憶えておくといいかも
発展:アッパー・ストラクチャー・トライアド(UST)
全てのテンション(9, #11, 13)を一度に鳴らすための、非常に効果的な手法です。
まあ、もうこうなるとリディアンをそのまま弾いてるのと同じような物ですね。コードの本体はスケールと言うのが、よくわかるかもしれません。
Cmaj7(9,#11,13)

Cmaj7の上で、全音上のDメジャー・トライアド(D, F#, A)を乗せているのがわかるだろうか。 5度を弾く人もいます。
Cmaj7(9,#11,13)
ちょっと応用に過ぎるかもしれませんけど、ピアニストは結構やります。
恐ろしいことに、3度もメジャー7も省略されているフォームです。

3度、7度は他の楽器が鳴らすことがあるから、省略されることもあると言うのが教科書的な説明にになるだろうが、これ単体でも強烈なリディアン感がある。実践では3度がなくても、そう機能するボイシングがあることは知っておきたい。コピー出来ればわかるんですけど、コピーが難しくても憶えれば聞き取れるようになります。
でも、美しいですよねえ。
鍵盤だとR+7を左手、右手で全音上のメジャートライアドの第2転回形を使うこともありますね。
まとめ
いかがでしたかね。
#11thは 、単なるテンションの一つではなく、異世界感があるテンションです。
これがあるだけで、強烈にモード感が出ますね。
個人的にはエンディングで使うことと、サブドミナントで何とも言えないような気だるい感じにしたい時に使うことが多いでしょうか。
おじさん殺しのテンションと言えましょう…
三井田君じゃないけど、何でもかんでも使いたくなりますね。
今回紹介したボイシングの中で、皆さんはどれが一番お好きですか?
まずは気に入った響きを一つ、自分のものにするところから始めてみてください…
#11がまず一つ入ったものから憶えるといいと思います 。
練習としては、通常のコード進行の中で、メジャー7の部分に#11を入れてみて、サウンドを憶えていくと良いと思います。
#11は異世界感があるので 、#11なしの9,13とはわけて理解しておくと実用的だと思います。
参考音源
マイルスのなかでも特に印象深い曲だと思いますけれど、作曲はもちろんショーターです。
Abmaj7(#11)-Dbsusという冒頭だけでも、異世界感がありますね。何ヶ所も使ってます。
分析するとLydian#5,Lydian,Lydian b7,オルタードもおそらくLydianモードをいろいろ変えることで、色彩を変えるようにと作曲してるのかもしれませんね。
メロディックマイナーのバリエーションで考えているかもしれないですけどね。
こうやっていろいろ分析出来るけれど、本当のところはわからない…
こういう得体のしれなさがショーターですの魅力でもありますね。
あたまのコードが分かりやすいですかね。Dm7、Ebmaj7(#11)で弾いてますね。
メンバーも凄いメンツですね。
ts)Wayne Shorter tp)Freddie Hubbard p)Herbie Hancock b)Ron Carter ds)Elvin Jones
同じアルバムでもInfant Eyesで#11を効果的に使ってるのでそちらも紹介したかったんですけど、こちらのほうがサウンドを理解してもらいやすいですかね…
Joe Hendersonはモーダルなプレイヤーと言う印象が大きいですね。もちろんそれだけのプレイヤーじゃないんですけど。
初期もひねりがあるプレイはしてるけれど、この時期は本当にモーダルですね。
個人的には晩年のモードもブルースも自由に行き来する様なスタイルが一番好きかな。
この記事を書く時にTetragonを聞き返していたんですけど、モードとブルースを自由に行き来するスタイルは始めからあったんでしょうね。
高評価して応援しよう!
- #11
- #11th
- #11に限りませんけど
- #11thのような色彩感の強いテンションを加える際
- #11thボイシング



